資産家の方は、年に一度、所有財産の決算棚卸を!

 

国の平成14年度税収は大幅に落ち込んでおり歳入不足となっています。来年度以降、また、大幅な赤字国債発行となるでしょう。国の財政赤字はバブル崩壊後大幅に増加し、天文学的数字となっています。一方、年金財政も赤字転落です。誰が、この赤字を穴埋めしてくれるのでしょうか?。景気状況はデフレです。しかし、当然、増税するしかありません。政府税制調査会の議論をみていると増税一色です。これから、日本国はどこへ行くのでしょうか?

 

ところで、法人及び個人事業主の方々は、その事業に関して、年一度、決算をし、一年間の業績及び決算日現在の財政状況を算定します。これは、「ベニスの商人」の時代からイタリアではおこなわれています。現在の先進国では、その決算書を基に、法人税及び所得税等の税務申告を行います。税務申告をするためだけに、決算をする訳ではないのですが、現実として、税務申告を念頭に決算作業が行われます。

 

ところが、相続税に関しては如何でしょうか?。相続税の税務申告を念頭に個人財産の決算作業(個人財産の棚卸)が行われているでしょうか?。確かに、相続発生後、相続人によって、相続財産の把握は行われます。でも、ご本人様が行うことは、物理的にできません。相続人が行います。相続税申告は、相続発生日(ご本人の死亡日)後、10ヶ月後に申告期限が到来します。毎年行われるものではありません。一生に一度です。従って、毎年、ご本人様が個人財産の棚卸を行っても、無駄であるとの考えも成り立ちます。

 

しかし、相続税は、法人税及び所得税等と異なる特徴が5つあります。

@相続税では、納税者が、相続財産の評価を行います。

法人税及び所得税等では、例えば、原則、収益費用の金額を納税者が評価決定すると言うことはありません。当然のことですが、収益費用の金額は、第三者との取引で決定されるからです。決算の際に、納税者が評価することはありません。ところが、相続税では、資産(ストック)に対して課税されます。と言うことは、納税者がその資産を評価して、税務申告することになります。所得(フロー)に対して課税する法人税及び所得税等と異なります。

A通常、相続発生日(ご本人の死亡日)までに時間的余裕があります。

一生に一度ですから当然ですが・・・・・・。事前対策をする時間的余裕があるということです。

Bご本人様だけが相続財産を自由に処分できます。

つまり、ご本人様が、一定の範囲内ですが、自由に相続税の納税額をきめることが出来ると言うことです。ご本人様だけが事前対策を考えることができるのです。生前、財産を使い切ってしまうこともできます。投資用不動産を購入することもできます。例えば、預貯金1億円と1億円で購入した投資不動産とでは、相続税評価額は異なります。後者の評価額は、1億円以下になります。一方、相続人にとって相続財産は「所与」です。

C資産家にとって、相続税額は通常多額になり、納税に困ります。<延納、物納もありますが、>

資産家の場合、納税額は数千万円〜数億円となります。事前対策(生前対策)を考え、適切な処置を施さないと、子孫代々に伝えるべき大切な財産も処分せざる負えなくなります。

D遺産分割という作業が必要です。

遺産分割は、民法の分野です。各相続人には、相続権があります。こちらも、生前対策(遺言)をとらないと「田分け者」になってしまいます。

 

以上から、合法的に相続税の重圧から逃れるためには、事前対策(生前対策)をするしかありません。事前対策をすれば、相続税の節税及び揉めない遺産分割ができる可能性が大いに高まります。孫子の諺ではありませんが、「己を知り、相手を知れば、百戦危うからず。」。まず、己を知るために、ご自身の財産の評価額を知り、その相続税額を知る必要があります。その為には、ご自身の財産の棚卸が必要です。ご自身の財産を、相続税評価額で評価する必要があります。ご自身で行われても、相続税専門の税理士に依頼するのも良いでしょう。相手(相続税・国税当局)を知るには、相続税専門の税理士に相談するしかありません。

 

是非、この機会に、一度、ご自身の所有財産の棚卸を行ってみたらいかがでしょうか?

そして、事前対策を行うことによって、ご自身の財産を、効率的に子孫代々に伝えてはいかがですか?